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「すみません」
と、声をかけられたのは、正門の前だった。
「はい」
立ち止まると、下を見ながら立ち尽くす男子がいた。栗色の髪が風で揺れる。
「足元の紙取ってもらってもいいですか?」
よく見ると、彼の足元には数枚の白いプリントが散乱していた。
自分でとれるだろうと思いながらも、嫌じゃと断る程ケチではない。
屈んで、プリントを寄せ集めた。フワリと鼻につくのは、昨日かいだココナッツみたいな甘い香り。
思わず、見上げてしまった。
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