気まぐれ風神

15/17
前へ
/100ページ
次へ
佐尾屋さんの顔に氷がはれるならパリンと割れたに違いない。 あたしは口をパクパクさせるしかなかった。だけど、予想に反して「ははははは」と思い切り、大口を開けて笑った。 なんだ、良かった。冗談だと思ってくれたんだ。 「えへ」 つられて、引き攣りながら笑うと。「すごいこと言うね、あんた」と真顔になった。 「いや、嘘です」 「俺、気持ち悪いとか言われたの初めてなんだけど。なんか、むかつくね」 「む……むかつくって」 「そんなに見られたくなかったら、スカートの丈、くるぶしまで伸ばしたら?お子ちゃまちゃん」 「はっ?」 今度はあたしの眉間にしわが寄る。どんだけ、昔の不良女スタイルをあたしに勧めるんだ。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

308人が本棚に入れています
本棚に追加