気まぐれ風神

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「やっべ、雨降って来たね」 隣に立つ、宮子が空を見上げて言った。 その声で、さっきから気のせいかと思っていた顔に当たる水の粒は雨だと確信した。 空は雨なんか降らせませんと言ったように、晴天に小さな紙切れみたいな雲を数枚引き連れてる感じ。 4月になった。無事、進級出来たあたしは、高校3年生になる。 このところは、気持ちが落ち着ける程温かかったり、たまには夏日にも感じる気温だった。 とりあえず、過ごしやすくて頭がボーッとする。 高校生活3年目となると、新鮮味が薄れるなぁとつくづく実感する。高校生活のベテランだ。 釣り立てのお魚を味わえるような感覚にはもうなれないんだろうな。
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