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それから、三日過ぎて、京伍は帰ってくる。
直ぐに市内の癌センターへと入院することになった。
ゆう子は、その知らせを聞いて病院に駆けつけた。
京伍は、この時すでに、肺がんの進行速くて、移植するか、進行を押さえる治療法しか残されていなかった。
そんなことなど、知らないゆう子は、京伍を叱る。
「何やってるの!どんなに心配したことか、分かってるの、京伍さん、」
「あぁ~、ごめん、ゆう子ちゃん、」
「それでは、今まで何処に行ってたの?説明して、」
「そうだな、北海道に行ってた、」
「えっ!北海道?」
「最後に函館の街を見てみたいと思って、」
「そこに何があるの?しかも、最後なんて!」
「いゃ~、ゆう子ちゃんには、後で話すから、今日は寝かせてくれないかなぁ、」
「あっ!ごめん、病人に怒ったりして、私いけないね、」
「いいゃ、怒っても構わないさ、ただ、疲れただけなんだ、」
京伍は、ベッドに横になり、眠ってしまう。
ゆう子は、それを見て、給湯室でお見舞いに持ってきた花束を花瓶に活けて病室の机に置いた。
その時、ゆう子は思った。
いくら双子だからって、二人とも入院するなんて!!
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