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舞台当日、京伍は、弟の榮吾が心配で楽屋に様子見に来ていた。
「榮吾、その熱で舞台に出られるのか?仕方ないよ、」
「でもな、演目の途中で倒れたらどうする?」
「しかし、代役が居ない以上、ボクがやるしかないでしょう、」
「代役か?それじゃ、俺が代わりを務めてやるよ、」
「えっ!兄貴がやってくれるの?」
「あぁ、藤娘なら、散々稽古しているから大丈夫だろう。」
「ほんとに?兄貴、」
「あぁ、俺たち双子だし、他の者に解らないだろうから、どうだ榮吾、」
「そうして貰えると助かる、兄貴、」
「そうと決まったら、化粧手伝ってくれ、榮吾、」
そして、榮吾の楽屋には、誰も入れずにシヤットアウトしていた。
メイドの佳代さんに手伝ってもらい、立ち入り禁止にして準備していた。
それから、京伍の初舞台となる。
観客席にゆう子が見えたので、京伍は、バレやしないか?心配であったが、堂々と藤娘をやってのけた。
「ふぅーん、そうだったんだ!」
「だから、ゆう子ちゃんが好きな藤娘は、兄貴だったってことだね、」
「わたしが好きなのは、京伍さん!」
「そういうことだなぁ、だから、婚約者はボクじゃ無くて、兄貴の京伍だから、ごめんね、今まで騙して、ごめんなさい、ゆう子ちゃん、」
榮吾にそう言われて、ゆう子は、複雑な気持ちであった。
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