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その榮吾の姿は、涙を堪えているようにも見える。
「信じないと思いますが、ゆう子さんが浮遊霊となって、ボクの身体を借りて描いた漫画です。」
「いゃ、信じるよ、これは、紛れもなくゆう子の描いた物だ!癖字もそっくりだなぁ!」
「良かった、信じてもらえて、それを京伍さんに伝えたいのですが?」
「兄貴は、実は半年前に肺癌で亡くなったんだよ、」
そうなのです、ゆう子が交通事故で亡くなって、半年後に肺癌が悪化して京伍は、病院でこの世を去ってしまったのである。
「そんなことがあったのですか!」
「そう、だから、兄貴に渡せないね、これは、、、」
ヒロは、このまま漫画を持って帰れないので、と悩んでみたが、ゆう子を成仏させるには、京伍を生きてることにして、嘘をつくことにした。
「このゆう子さんの漫画は、榮吾さんが持っててください、お願いします。」
「そうだね、ボクが預かっててやるよ、兄貴の仏壇に閉まってあげるから、安心して五味さんは帰ってこの事をゆう子ちゃんに伝えてくれるかなぁ、」
「そうして貰えると助かります、ありがとうございます、榮吾さん、」
「この際だから、秘密にしてあった事を五味さんに、話してもいいかな?」
「何ですか?その秘密って、」
榮吾は、ヒロに淡々と話して聞かせる。
京伍と榮吾は、ゆう子の兄妹であること、しかも、ゆう子には双子の姉がいたことなどを話していく。榮吾と母親違いの姉、彩香は、5歳のとき病気で亡くなっていた。ゆう子と彩香は、別々に育てられていたから、ゆう子には知らされていないことであった。
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