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あさみが話そうとしていることは、
恐らく輝子が話していた″真実″だと思う。
言いにくそうに、渡した婚姻届の端を、白い指で握りしめて、
「一生、嘘つきでいたくないの」
輝子と同じように涙を滲ませて、
「正直者になってから、お母さんになりたい」
もう既に分かっていることを話始めた。
話を聞きながら、
時折、窓の外の桜の木を見て、
『春になったら、ここもキレイなんだろうな』
とか、
昔、大村公園で、
桜を見上げながら、
泣きそうな顔をした中学生の輝子のことを思い出したりしていた。
「龍神は、自分と血の繋がらない子どもを可愛がることできるの?
ずっと、愛情持って育てられるの?」
泣きながらそう問うあさみの目には、
輝子を思う俺は、どう映ったんだろ?
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