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ようやく入室が許可されて、
おじさんの車椅子を押して薄暗い病室にそっと入った。
「………こういう装置をつけてるのを見ると、
家内を思い出して………」
ナイフは龍神の内臓まで達して、
短時間での出血多量を引き起こしたのだという。
重々しい装置に囲まれ、
酸素マスクをした龍神を見て、
おじさんは堪らず顔を伏せた。
「10分おきに様子を見に来ますが、
急変したらナースコールを押してください」
医師と看護師が、装置の見方を説明。
遠回しに、死亡と判断される数値の見方も教えていく。
「持ちこたえるかもしれませんが、
念のために、会いたい人には会わせてあげて………」
龍神のお母さんの時と同じ、医師からの宣告に、
私も涙が止まらなくなった。
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