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龍神の今後を思い、婚姻届に、頑なにサインをしなかったあさみさんや、
東京で、騙され自らを汚して、
長崎に黙戻ってきた私の経緯を、
知らぬ間に龍神に話してくれた金森くん。
そして、
ヘルパーを雇い、
龍神が東京でいつでも仕事が出来るようにと、
車椅子から松葉杖の生活に変えた、
龍神のお父さん。
みんなのおかげで、
今の私と龍神がいる。
「よし、上がるぞ♪フィニッシュ!」
三年前と同じように、
最後の打ち上げ花火を見て、
また、キスをしようと
約束してた今年の夏。
「す」
「だめ」
″好き″
と言おうとした、龍神の唇を両手で塞いだ。
「今度は、私が言うと」
龍神が告白してくれた夏も、
また出会えた春も、
「龍神」
こうやって抱き締め合える奇跡も、
「好きっちゃけど」
この先、ずっとあるのかは分からない。
「けど?」
また、挫折や裏切りを経験して、
ふたり離れてしまうかもしれない。
「わたしを一生、ヘアメイクしてくれん?」
だけど、
覚えていたい。
「………専属料、高いですけど」
覚えていたら、乗り越えられる。
″また、来年も一緒に観ような″
夏の日の約束と、
この町で
枯れても、また色鮮やかに咲く花たち。
「キス、
十万回分でいい?」
「んー………足らねぇな」
あなたは、
覚えていますか?
*。゜*。゜*。*。゜゜*。*。゜*。*
おわり。
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