桜 と 龍

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長崎駅で降りて直ぐに、チンチン電車に乗り換えて浜町のアニメグッズの店へ。 「うわ、人めっちゃおるやん」 裕海は混雑具合にウンザリしていたけど、……私はめっちゃワクワクしている。 文房具に、ティシャツ。 限定アクセサリー、ポスター、タオル。 CDに、漫画豪華版。 「あー…ヒロトさま♪」 大好きなアニメ【バスケ王子】のヒーロー。 ″渋谷ヒロト″。 私はアニメの中でも、幼い絵柄のものより、現実的なアニメのイケメンが好きだったりする。 「このバスケットボールのストラップ買おうかな」 「ストラップ? 輝子はスマホもガラケーも持ってないやん」 「いいと。ペンケースのファスナーに付けるから。あっ、ペンケースもある! 欲しい!」 「それ1200円もするよ、買えると? 輝子」 「お年玉使わずに残しとったから買えるよ」 さっきもぼやいたように、うちは金持ちではない。 私は連絡用端末すら持たされてないし、 小遣いも月に二千円なので、必然的に、こういうグッズ調達の資金はお年玉ということになる。 「あーあ、帰りの交通費しか残らんかった」
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