メイ子がいっぱい

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 数十分がすぎた。  開け放たれたドアの向こうからは、なんの物音もせず、斑鳩メイ子(木玉倉製作)につながれたロープがスルスルと送り出されていくばかりだった。  いったいこれからなにが起きるのか、期待と、それを大幅に上回る不安が雪実の胸にこみ上げていた。なんらかのアクシデントが起こったらロープを引っ張って斑鳩メイ子(木玉倉製作)を救出する手筈であるが、どんなアクシデントに見舞われるか想像もつかず、果たして自分なんかに対処できるだろうかと不安がつきない。  一方、木玉倉はコントロール装置のいくつものメーターを凝視していた。メーターの針は激しく動き、べつの丸い表示装置には、おそらくロボットの目を通して見る超空間が映し出されていた。 「これはすばらしい。このデータはまさしく驚異だ」  木玉倉は興奮しているが、雪実にはなにがそんなにすごいのかわからない。  むむ、おお、なるほど、そうきたか、などと一人で声をあげている横で、雪実は退屈だった。 「あの……いったいいつまでこうしてるんですか?」  おずおずと声をかけた。  そのとき、 「まずい! ロープを引っ張れ!」  木玉倉は振り返って叫んだ。 「はい!」  その切迫した声に驚いて、雪実はとっさにロープをたぐりよせる。
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