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そして、何人もの斑鳩メイ子が飛び出してきたのである。
「うわあっ!」
正義と嘉村は悲鳴をあげて、腰を抜かした。
これまでさまざまな異常現象を見てきた正義だったが、この現象はそれを凌駕した。瞠目し、我を忘れてしまうほどだった。
一方の嘉村は、驚きのあまり、ただただ呆然とするのみで、しばらくはその場で硬直した。
斑鳩メイ子たちは、
「ここはどこ?」
「いまはいつ?」
「わたしはメイ子よ。よろしくね」
「おなかすいたー」
「おかえりなさいませ、ご主人さまー」
などと口々に言いながら、たちまち5階の通路いっぱいに広がって、いまや収拾のつかない事態である。
「そこまでよ!」
そこに、どこか間の抜けたような声が響き渡った。
階段を昇ってきた声の主は、402号室に居候している斑鳩メイ子(オリジナル)だった。
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