進撃のメイ子

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 木玉倉の505号室で、どこかのドアが超空間とつながって、そこから何体ものメイ子が出てきたちょうどそのとき、403号室の斑鳩メイ子は、テレビでアニメを見ていた。 「きゃはははは……」  フローリングに寝ころんで、ポテトチップをつまみながら笑っていたメイ子は異常を感じた。  この感覚は……。  自分と同じ波長の電波を体内のセンサーが感知していた。  それは、同時代に何体もの同型アンドロイドが存在することによるタイムパラドックスを回避するため備わっていた機能だった。 「これはいけないわ」  そう言って立ち上がる。ポテチの粉が床に散るのもかまわず、玄関へ急ぐ。  402号室の玄関ドアを勢いよく開けると、ほとんど同時に403号室のドアも開いた。  403号室から出てきたのは、自称・豊臣秀吉、しかしてその正体は、三十歳ぐらいの男性地球人に化けている宇宙人、本名:ガニガニ・9・ボーテだった。斑鳩メイ子を見て、 「今、超空間の波動をキャッチしたぞ。なにか知っているか?」  地球人の調査を任務としている宇宙人のガニガニ・9・ボーテは、そのことを他の住民には秘密にしているが、斑鳩メイ子にだけは認知を認めていた。メイ子も23世紀からのタイムトリッパーでロボットだという秘密を隠していて、それぞれの秘密を共有していたからだった。 (くわしくは、シリーズ「宇宙人・伊藤博文の調査報告」の第3話「二人の宇宙人に安らぎあれ」をご覧下さい)
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