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高校から帰ってきた503号室の住人、飾雪実(かざり ゆきみ)は、通路の真ん中に立っているやせぎすの白衣の男に呼び止められた。
「これこれ、そこの少年」
あまり関わりたくはなかったが、無視するのも怖くて振り向いた。
「な……なんでしょうか……?」
「きみを我が輩の助手として雇おう。来たまえ」
用件だけ告げると、木玉倉狂介は雪実の女のように細く白い手をごつい手で無造作に握りしめ、有無を言わさず引きずっていく。
「あの、あの、あの……」
足を踏ん張って抵抗しようとしたが、非力な雪実よりも木玉倉の力は強かった。
そして、505号室のドア(木玉倉研究所というプレートが貼っている)を開けると、中に入り、雪実を引き入れた。
リビングには、目を見張るほど多くのさまざまな機器が配されており、ただの住居でないことは明らかだった。
それだけでも「危ない人」だとわかるのに、さらに驚愕したのは、壁に磔(はりつけ)にされているのは、たしか、402号室の斑鳩メイ子ではないか……! いつもメイド服を着ていることからレジデンス茜台では有名だった。
だがこれは犯罪ではないのか!
「驚いているようだが、安心したまえ。これは我が輩が作ったロボットで、本物ではないのだ」
木玉倉は平然と言ってのける。
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