夜風にあたって

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発せない言葉の代わりに私はキッと主任を睨みつける。 「赤い顔で睨んでも逆効果だって」 「もう知らない…」 ふんと顔を背けるも、完全に悪魔モードの主任に効き目があるはずがない。 そして、主任は立ち上がれない私の前にしゃがみ込み、私の頬に手を置くと再び軽く口づけした。 「だから…もう、やめてくださいって…!」 「明が悪い」 「はぁ?何で私が悪いんですか?」 あまりに理不尽な言い分に少しキツイ口調になる。 キスをしてほしいと言ったのは私だけど、あんなに激しいキスを求めたわけじゃない。 ただからかわれてばかりなのが癪に触って、自分も余裕があるんだというところを見せたかっただけなのに。 想像をはるかに上回る深すぎるキスに、不覚にも気を失いそうになってしまった。 「可愛すぎる明が悪い」 主任の一言で再び身体の熱全てが、顔に集中してしまったように熱くなった。
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