夜風にあたって

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「どうしたんですか…?」 突然のことに私の頭の中にいくつものクエスチョンマークが浮かんだ。 私が尋ねても主任からの返答はない。 不思議に思いながら、主任の表情を見ようと顔を主任の方に向けると、抱きしめる腕にぎゅっと更に力がこもった。 「主任…?」 「このまま少し抱きしめられてて…」 「えっ…?」 「あー…やばい…」 いつもの主任と違う優しく小さい声に、私は戸惑ってしまう。 主任の顔を覗こうとしても、抱きしめられている力が強くて身動きが上手くとれなかった。 「本当、お前マジで何なの?可愛すぎる…」 「えっ…?」 「俺、余裕ないんだから」 「えっ…!?嘘だ…」 もう、酔いは完全に冷めきっていた。 今すぐそばにいる主任のことで頭の中はいっぱいだ。
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