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玉座に居座る由香は、崩れだした外壁から城の外の世界を覗いてみた。その狭い穴から見えるのは、目が眩むほどの光とエネルギーで溢れた世界。かつて、由香が過ごしていたはずの世界だ。
その世界で生きていた時の感覚をゆっくりと取り戻しながら、由香は覗き穴を少しずつ広げていく。外壁を崩そうとする由香と、崩壊を嫌う黄金の城との戦い。それは飢餓と食地獄の戦場とリンクしていた。その戦いの真っ只中、由香は残暑が厳しい日本を背にイギリスへと旅立った。
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