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――俺には好きな人がいる。
その子の名前は“久世 雪歩”。
アルバイト先で出会った同期の女の子で、かわいい系か綺麗系かで言えばかわいい系の部類に入るだろう。
身長は150センチ代、耳を覆うショートヘアー。
ややうち跳ね気味のクセっ毛と、「ねえ聞いて聞いて!」と無防備に慕ってくる姿は仔犬を連想させる。
一人称は“ボク”で、喜怒哀楽が分かりやすい素直な女の子。
それが、雪歩だった。
高校1年生になって初めての夏休みを迎えたその日、俺はアルバイトに入っていた。
5月頭から働き、あともう少しで3か月目を迎える頃にもなると仕事も大方覚え余裕が見えてくる。
現在の時刻は夜の9時半。
アルバイト終了の10時まで、テーブル拭きなどの店仕舞いの支度を進めている傍ら、俺は同じ時間帯にシフトが入っていた雪歩の姿を目で追いかける。
彼女は店の入り口前に佇むレジ周りについて、使い捨てのおしぼりやストローなどの在庫を確認していた。
目を通しては在庫チェック表に記入していく雪歩。
ふとこちらの視線に気が付いたのか、その子の横目がぶつかる。
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