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――夏の日差しに肌を焼かれながら、俺はホースを片手に水撒きをしていた。
朝、ブロンズに出勤した俺が最初にナズナさんに言い渡された指令は、開店前に店の前に打ち水をして来いとのことだった。
制服の袖を通し、店の前から車10台分を置くことができる駐車場まで一通り水を浴びせていく。
ついでに、お店の前に植えられている植物や飾られていたプランターの花々にも水を振りかけていった。
打ち水を始める前がどれほど暑かったは覚えていないが、確か朝にも関わらず気温30度を超えるとニュースでは流れていた気がする。
水をかけるなんて古典的な手法だなと効果を疑っていたが、流石は先人たちの知恵というところであろうか、大方水をまき終えるとひんやりとした空気が風に運ばれてきて心地がいい。
「あとはここにアイスコーヒーなんかあれば最高なのだが」
「アイスコーヒー、あるよ?」
「えっ!?」
締めに店の入り口周辺に水を撒いていると、後ろから耳に聞きなれた声が届く。
驚いてホースの口を固くつまんでしまい、水は青空高く舞い上がって雨のように降りしきった。
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