駅から見えた流れ星

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度重なる色々な出来事で 心がひねりつぶされて よじれていたマツだった 苦しみ悲しみ 歩いた 洗い地蔵もタオルでごしごしこすってみたが 膝もひじも痛い 腰も背中も痛い 痛いの痛いの飛んでいけ、何度も言いながらこすってみた 心の痛みも飛んでいけ、 また、歩いて、歩いて、歩いて駅についた そしてプラットホームに電車が入ってきた時にマツは 泣いた、声が出た。。。泣いた 電車の音で鳴き声はかき消された 涙もぽろぽろコボレタ 袋小路から飛び出そう 深い悲しみ さみしいのでありますが 形がなくなり始めて心の中に形が整う 今は苦しくて悲しくても 必ず心には響いているその温もり 笑い声、掘りごたつ、イチゴ、井戸水、柿の木、梅ノ木、スモモの木 あぼがどの木、アロエ、草草、土に放したたくさんのミミズ、コオロギ 鈴虫、カマキリ、セミの幼虫たち、椿の木、榊、むくげ、柘植の木、じいちゃんの釣り竿、鶴の置物、ボク、ミョウガ、スズラン、トタン屋根、犬小屋、春蘭、ジジババ、ヒヤシンス、石ころ、コケ、玄関のたたき 猫の足跡 柱のシール、床の間、風呂場、廊下、棕櫚の木 柱の背比べ 龍のひげ・・・ 子供のころ柱に書いた落書き 最後に誇らしげにピンクのアジサイが咲き誇っていた庭 もうそこには何もない すべては思い出というアルバムにとじられた マツは色々と思い描いた、そして ふと空を見上げたら 星が キラリと輝いた
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