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「なっ……」
電話で話してるだけなのに、顔が火照った。
「そ、そんなことには、なんないよっ。昨日だって、社長は、個室を予約してたけど、ちゃんと窓際の席に変えてもらったしっ」
「……ふーん。個室、ねぇ。結衣のこと、オトす気満々だねぇ」
菜々美の皮肉めいた声が、響く。
……何か、余計なこと言っちゃったような。
「結衣。彼は、これからも、甘い言葉でモーションかけてくるだろうけど、冷静にね?絶対、そういう男は、他でも、女の子口説いてるんだから」
菜々美の言い方に、ちょっと、ムッとした私は、さらに余計なことを言ってしまう。
「菜々美、心配しすぎ!私、今夜は、佐倉さんと飲みに行く予定だからっ」
私の言葉に、一瞬、菜々美の声が途切れた。
「……えっ、佐倉と?」
「そ……そうよ。私だって、別に、社長とばっかり会う訳じゃないからっ」
意地になって、そう言うと、スマホの向こうで、菜々美が、ハハハと笑う。
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