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「安心したよ、結衣」
「……えっ?」
菜々美の言っている意味が分からない。
そんな私に、菜々美の面白そうな声が響く。
「ちゃんと、駆け引き出来てるじゃない!しかも、佐倉と二股なんて、やるね~」
な……っ。
駆け引きとか、二股とか……何か、話が全然違う方向に……!
「ちょっと、菜々美、何かすごい誤解してるよ?」
「いいじゃん。どうせ、東条社長とは、ちゃんと付き合う、って言われたわけじゃないんでしょ?」
「うっ……」
痛いとこをつかれて、言葉に詰まる。
「だったらさ。結衣だって、自由に、他の男と会えばいいのよ」
「そ、そんな……っ。私が好きなのは、社長だもん。私は、菜々美みたいに、何人もの人とかは……!」
言いかけて、ハッとした。
「……ごめん、菜々美」
「ん?別にいいよ~」
スマホ越しに、菜々美が屈託なく笑う。
菜々美は……特定の男性と付き合わない。
誰とも深入りしない。
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