277人が本棚に入れています
本棚に追加
きちんと付き合うのは面倒だし、恋愛の楽しい部分だけを共有したいからって。
菜々美は、すごく良い人だし、女性として憧れるところが、いくつもある。
でも、この恋愛観だけは、これからも重なりそうにない。
「おっと、そろそろ取引先に行かなきゃ」
「あ、うん。気を付けて」
「はいはーい。じゃあ、今夜、佐倉とどうなったか、また聞かせてね!」
「いや、だから、佐倉さんとは、そういうんじゃ……」
「それじゃねー」
私の否定も聞かず、菜々美からの電話は切れた。
「はぁ……」
何か、菜々美が焚き付けるから、今夜、佐倉さんと会うのを変に意識してしまう。
でも、菜々美が期待するような話じゃないと思う。
佐倉さんは、男女関係なく、人を寄せやすい空気を持った人。
東条社長のようなクールなタイプじゃないけど、長身でカッコいい。
当然、彼女いると思うし。
「とりあえず、お昼食べよ」
私は、鞄にスマホをしまうと、いつもとは違うお店に入った。
最初のコメントを投稿しよう!