3piece 交差する想い

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きちんと付き合うのは面倒だし、恋愛の楽しい部分だけを共有したいからって。 菜々美は、すごく良い人だし、女性として憧れるところが、いくつもある。 でも、この恋愛観だけは、これからも重なりそうにない。 「おっと、そろそろ取引先に行かなきゃ」 「あ、うん。気を付けて」 「はいはーい。じゃあ、今夜、佐倉とどうなったか、また聞かせてね!」 「いや、だから、佐倉さんとは、そういうんじゃ……」 「それじゃねー」 私の否定も聞かず、菜々美からの電話は切れた。 「はぁ……」 何か、菜々美が焚き付けるから、今夜、佐倉さんと会うのを変に意識してしまう。 でも、菜々美が期待するような話じゃないと思う。 佐倉さんは、男女関係なく、人を寄せやすい空気を持った人。 東条社長のようなクールなタイプじゃないけど、長身でカッコいい。 当然、彼女いると思うし。 「とりあえず、お昼食べよ」 私は、鞄にスマホをしまうと、いつもとは違うお店に入った。
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