3piece 交差する想い

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  昼休み。 会社のビルを出ると、私は鞄からスマホを取り出し、社長の番号にかけた。 こうすれば、私の番号が分かる。 もし、彼から連絡を取りたいって思ってくれれば、これからは、この番号にかけてくれるはず。 そんな先の期待まで膨らませながら、スマホ越しに鳴る呼び出し音を聞いていると、程なく電話が繋がった。 「はい、東条です」 聞き心地のいい彼の声が、耳に響いてくる。 「あ、あの……綾瀬ですっ。さっきは、ありがとうございました」 「はい」 「あれって、本当は、バーに忘れて行ってたんですよね?」 「ええ。ビルを出た後、店から私に電話が掛かってきました」 「すみません、お手数おかけして」 「いいえ。それよりも、あのバーは、気に入りましたか?」 不意に、そう聞かれて、昨夜の彼との時間を思い浮かべる。 熱帯魚の泳ぐアクアリウム。 宝石を散りばめたような夜景。 美味しいカクテル。 でも、それよりも……。
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