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「ふっ…っうっ…」
「明…?泣いてるのか?」
何で主任相手だといつも勝手に感情が溢れてくるんだろう。
「泣いて…ないですよ…?」
「何かあったのか?」
和也のこと話しても主任は傷つかないかな…?
言うか言わぬべきか二つの考えが頭の中で天秤に駆けられてゆらゆら揺れていた。
「何もないですよ…」
どうしても正直に言えなかった。治りかけていたと思っていた心の傷は随分と深かったらしい。
先程の和也の表情や言動が鮮明に浮かんでくる。
和也のことがまだ好きとかそう言うんじゃない。ただ、前の恋にケリがついたから次の恋って程私は図太い人間じゃない。
「嘘つくな。今どこだ?家か?」
「嘘じゃないですよ…。家の前です…」
「わかった。今からそっち行くから」
「えっ…?」
「言っただろ?何かあったら飛んでいくって」
そう言うと主任は電話を一方的に切った。
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