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しばらくその場に立ち尽くしていると、程なくタクシーに乗って主任が現れた。
「明!」
主任は珍しく焦っていたようで額には汗が浮かんでいた。急で来てくれたらしい。
「主任…」
「どうしたんだ…?」
私は首を横に振って、主任に抱き付いた。
言えない…。『もう別れたよ』って言って彼を安心させてあげたいのに、さっきの和也の切なそうな表情が頭から離れない。
「話してくれなきゃ分からないよ…?」
主任は私の背中をゆっくり擦ってくれた。
段々と気持ちが落ち着いてくる。
いつまでも臆病になってちゃだめだ。目の前の彼を大切にしなきゃ。
もう過去のような失敗はしたくない。
主任にちゃんと話そう。
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