元カレ

15/22
前へ
/22ページ
次へ
しばらくその場に立ち尽くしていると、程なくタクシーに乗って主任が現れた。 「明!」 主任は珍しく焦っていたようで額には汗が浮かんでいた。急で来てくれたらしい。 「主任…」 「どうしたんだ…?」 私は首を横に振って、主任に抱き付いた。 言えない…。『もう別れたよ』って言って彼を安心させてあげたいのに、さっきの和也の切なそうな表情が頭から離れない。 「話してくれなきゃ分からないよ…?」 主任は私の背中をゆっくり擦ってくれた。 段々と気持ちが落ち着いてくる。 いつまでも臆病になってちゃだめだ。目の前の彼を大切にしなきゃ。 もう過去のような失敗はしたくない。 主任にちゃんと話そう。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

626人が本棚に入れています
本棚に追加