総務部の元カノ

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ずるくて、汚い私の考えを彼は優しいと言ってくれた。 鎖骨の辺りがぐうっと痛んで、喉が焼けるように熱くなった。 あぁ、まだ私の身体には水分が残っていたようだ。 喉に感じる熱さが次第に上へと昇りつめ、瞳から熱い雫がこぼれだした。 抱きしめられたままの主任のスーツが私の涙で再び濡れていく。 「ごめんなさい…」 あまりにも涙が溢れ、申し訳なくて頭を上げ主任から離れようとすると、「離さない…」と主任は私を抱きしめる力を強めた。 再び感情のコントロールができなくなってしまった。 「好きだよ…明。俺は明が一番好きだ…」 「私も…」 「不安にさせてごめんな…。俺の話し聞いてくれる…?」 子供に話しかける時のように優しく話す主任の言葉に、私はコクッと一度頷いた。
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