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「情けないから言いたくなかったんだけど…俺、酷い振られ方したからな…。あいつに…」
「えっ…？」
そう言って語られたのは主任が経験した悲しい過去の失恋だった。
「あの会社に入社してすぐ佐倉さんと出会ったんだ…。で、一緒に仕事で組んだりその流れで二人で飲みに行ったりしてるうちに好きになっていった…」
耳を塞ぎたくなった。聞きたくない。当然だ。だって、好きな人の好きだった人の話だ。
そんな話し聞きたくない。
でも、一生懸命話す主任の声を聞いてるとちゃんと聞かないといけない気がした。
「……」
「佐倉さんの方も俺に好意を持っててくれたみたいで、付き合うのにそう時間はかからなかった。それから一年くらい関係が続いて、ある時突然彼女から連絡が来なくなって…約束してもドタキャンされたりしてさ…」
主任の声がいつもより少し低くい。
「まぁ、お互いの家も知ってたしいつ連絡しても『仕事が忙しい』の一点張りでこっそり会いに行こうと思って家に行ったら…中から男が出てきてさ…」
「えっ…」
「ありきたりだけど、そういうこと。二股だった。しかも半年以上前から俺は二番目だったらしいけど…」
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