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このまま、終わってしまっていいの?
言いたいこと言えないまま、終わって本当にいいの…?
何度も心の中で自問自答した結果、私はドアノブに手をかけた。
主任はまだそう遠くには行ってないはずだ。走れば追いつけるかもしれない。そう思って、ドアを開けた時だった。
「ドア開けるの遅すぎ…」
その言葉と伴に、私は腕を引かれ強く抱きしめられた。
もちろん、相手は主任だ。
「何で…」
「明が、なかなか話聞いてくれないから、待ってた…」
「待ってた、って…。主任帰ったんじゃ…」
「帰れないだろ…。明の顔見てないのに…」
「でも、主任怒ってたし…私約束破っちゃって…主任が帰る足音したし…」
状況が把握できなくて、混乱する私の背中を主任はゆっくりと撫でてくれた。
「足音…?あぁ、そういえばさっき若い女の子がエレベーターの方に向かっていったけど…?すげぇ、高いヒール履いて」
「えっ…?」
じゃあ、さっき私が主任の革靴の音だと思ったのはハイヒールの音だったの…!?
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