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「何で、泣いてた?」
「……」
主任の問いに私は黙り込む。
「まさか、昼間佐倉さんが言ってたこと気にしてとかじゃないよな?」
私の心の内側を探るように聞く主任。
私は何も言えないままでいた。
それを答えと受けったのか、主任の顔がみるみる険しくなっていく。
「はぁー…。それが今日、俺との約束破った理由…?」
「えっ…?」
穏やかだった主任の声が、急に刺々しくなった。
「勝手に誤解して、泣いてんなよ。話しさせてって、俺言ったよな?電話しても出ないし、部屋来たら『帰って』なんて言うし、訳わかんねぇよ」
主任の大きな声がマンションの廊下に響き渡った。
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