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「明、今日おかしいよ?何で、そんなに泣くんだよ…?俺、本当にわかんないんだけど…」
涙で霞む瞳に映る主任の顔は、かなり困った表情をしていた。
一人でうじうじ悩んでいても仕方ない。主任に全部ぶちまけよう。
「……私、主任に話したいことがあります。今、時間もらえますか…?」
「あぁ、分かった…」
私の要望を主任はすぐ聞き入れてくれた。
くるっと向きを変えて、私が部屋の中に入ると主任も靴を脱ぎ私の後に続いて部屋に入った。
部屋の明かりをつけると、長いこと暗がりの中にいた反動から物凄い明るい光を感じ視界が白くぼやけた。
「適当に座って下さい…。何か飲みますか…?」
「うん。いや、いらない」
「そうですか…」
ピンク色のカーペットが敷かれたフローリングに主任は腰を下ろし、白い小さなテーブルを挟んで私はその向かい側に座った。
どちらも何も話さず、しーんとした張りつめた空気が私たち二人を包み込む。
どこから、何を話せばいいのだろうか…。
どう切り出せば、主任に分かってもらえるだろうか…。
考えれば考えるほど、不安になってなかなか口を開けないでいた。
しかし、ずっとこのままの状態でいるわけにもいかず、腹を決めて私はゆっくり話し出した。
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