1242人が本棚に入れています
本棚に追加
「まあ、そう言うことで俺らは失礼するよ」
そう言って、主任が歩き出そうとした時だった。
「えっ?ちょっと!新村君たち手繋いでる!?」
はっとして思わず主任の手を振り払った。
迂闊だった。何故佐倉さんを見た時この手を離さなかったんだろう…。
最悪だ。どう言い訳していいか分からない。
「部下と手握って昼食なんて、新村君いやらしい」
「はは…。セクハラで訴えられちゃうかな」
主任が私の顔を覗きこんだ。私はどうしていいか分からず、とりあえず口角を上げた。
「ていうか、明ちゃんと新村君怪しい!絶対デキてるでしょ!」
暑くもないのに汗が噴き出る。この展開はまずい…。
「デキてねーよ」
「えー、本当に?」
イライラした面持ちで言う主任の顔を佐倉さんはじっと見つめる。
「マジだって。ってかもういいだろ?そろそろ飯食いに行きたいんだけど」
「あーあ、つまんない。付き合ってたら面白いのに!」
「つまんないって…お前な」
主任と佐倉さんのやり取りを間近で見てると、二人の間にあった過去を忘れそうになった。
主任も佐倉さんも普通に話してる…。とても複雑な気持ちだ。
最初のコメントを投稿しよう!