可愛い子 side麗子

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「仕事以外では俺にも近づかないでほしい。明を悲しませたくないんだ」 「分かったわ」 聞き分けのいいふりをする。 『麗子』と呼んでくれていたその声は、もう違う女の子の名前を呼んでいる。 それが耐えられなかった。 「分かってくれて、良かったよ。じゃあ、俺もう行くから」 晃はそう言い残すと、さっさとその場を出て行ってしまった。 時間にして十分。 たったそれだけの時間。 長いこと私なんかといたら、明ちゃんが悲しんじゃうもんね。 『明、明』って何度も言っちゃってさ、『めーめー』羊かってーの。 不意に、頬に手をやると、熱いものが伝っていた。 何これ、私泣いてるの?
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