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「そう。深いことは聞かないよ」
そう言って、青木さんは踵を返す。
良かった。やっと出て行ってくれるみたい。
そう思ったのも、束の間。
持っていた資料を空き棚に置くと、再び彼は私の元へ歩み寄ってきた。
「だけど、君をこんなに泣かせた奴のことを俺は許さないけどね」
ニコっと笑って、彼はハンカチを差し出した。
「マスカラ、滲んでるよ」
私がそのハンカチを受け取らないでいると、彼は無理やり私にそれを握らせた。
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