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良は美しいボーイソプラノで、村娘のときめく恋心を歌いあげた。
「田舎の村娘にとっては、素敵な白馬の王子様で、いざ結婚となると家がある。だから同じ貴族の娘を選ぶ。ありふれた話だ」
アントワーヌは独り言の様に語る。
「アントワーヌは国に戻ったらやはり、貴族のお姫様を選ぶの?」
「さあね。僕は好きな人と結婚したいけど、わからないな。まだ先だから。君は?」
「良でいいよ」
アントワーヌが笑った。
アントワーヌが好奇心から聞いてみたのだ。
「僕は、カトリックの神父になる。」
良は目を輝かせた。
「えっ?生涯独身なの?」
「だぶんね。僕はマリア様の為だけに歌うんだ」
アントワーヌは寂しい気持ちになった。
「そう」
「神父になっても、友達でいるからさ」
「そうだね」
良は曲を歌い出した。
「もう行くから」
「ああ」
アントワーヌは走り出した。
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