トゥシューズ

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フェアリーはしばらく部屋でウロウロ考えていたが、思い切って返して貰う事にした。 フェアリーは良がよく行く東屋に向かった。 「やあ、アントワーヌ。よくここがわかったね」 「君のバイオリンの音を辿ればすぐわかるよ」 「今日はなに?」 「確か、フェアリーのトゥシューズを君が持っていたよね」 「ああ」 「返してくれないか?」 さりげなく聞いてみた。 「妹の形見だし」 アントワーヌは努めて平静を装った。 良はアントワーヌの瞳を覗きこんだ。アントワーヌは視線をそらす。 「やだと言ったら?」 「君には必要無いだろ」 「僕にとって宝物たからね。簡単には返せないよ」 良はいじわるく言ってみた。 「交換条件を出そう。いくらなら売る?」 アントワーヌも必死になって来る。 「お金は関係ない。そうだこうしよう。僕にフェアリーがどんな女の子だったか話してくれ」 アントワーヌはしばらく良を見つめた。 「そんな事でいいのか」 アントワーヌは安心した。 「今晩は僕の部屋で過ごそうよ。純や伊藤呼んで。 君はフィリップを連れて来るといい。もしかした、一緒のチームになるし。」 「いや。二人だけでいい」 フィリップに知られる訳にはいか無いのでアントワーヌは 素早く返事をした。
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