0人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
決闘は学院の敷地内の湖の近くで、行われた。
「3回勝負で2点先に取った者が勝ちだ」
フィリップと良はフェンシングのサーベルを構えた。
そして、試合が始まった。
野次馬の学生達がわあわあと観戦している。
身長はフィリップの方が高いが良は運動神経がよかった。
フェンシングも得意だったので、優先を簡単に取る事が出来た。
アントワーヌは湖の近くの桟橋にもたれて、ぼんやり考え事をしている。湖面に映る自分の顔を見た。
母親にそっくりな、己の顔が映る。
学生の数人がそんなアントワーヌに気がつく。
「アントワーヌが一人だよ。珍しいなあ。いつも取り巻きでいっぱいなのに」
「アントワーヌは人気があるからね。聖ミカエルの生徒の中で一番綺麗な少年だからね」
「でも、水泳がダメらしい」
学生達は、顔を見合わせて、ニヤリと笑った。
試合は良が2点取り勝ちだったが、フィリップが突然、良にタックルをして、地面に突き倒す。
すると、良はフィリップの腹にけりを入れた。
その時、激しい水しぶきがとんだ。
「アントワーヌが落ちた!」
生徒の一人がふざけて、アントワーヌを湖に突き落としたのだ。
フィリップの顔色が変わった。
フィリップは助けに行く事ができ無い。
最初のコメントを投稿しよう!