0人が本棚に入れています
本棚に追加
果樹園の甘く爽やか香りが漂う、丘で、はるか下に広がる聖ミカエルの宮殿を眺めながら、良はバイオリンを奏でていた。
バイオリンで曲を確認していたのだ。
しかし、解釈やテンポがわからない。
これは、カノウ頼みとなる。
良は頭を抱えていた。
「練習は進んでいるかい?」
アントワーヌがやって来た。
あの事件がアントワーヌは頻繁に丘にやってくるのだった。
「やぁ、アントワーヌ。曲の解釈がまったくわからないんだよ。どうして、好きな男を死んでまで復讐したいのか?僕ならもっと別の男のとこへ行くけど」
アントワーヌは丘の上に座った。
「夢を見たんじゃないかなあ。村娘は貴族の若者と結婚して、自分も貴族になるって。バレエのジゼルも同じ」
「殺す価値も無い男だ」
「歌ってみて」
最初のコメントを投稿しよう!