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「だって、バツイチになっても次を見つけやすそうじゃない。若い方が」
「あっ、残念ながら離婚はできないからねー。する気ないし」
「……チッ」
「もうそんな膨れないの、そんなさくちゃんもかわいいけどさ」
桜子の小さな舌打ちは無かったことにされたようだ。
ため息をついて、気分を変えるために抹茶を点てる支度をはじめた。
紫苑が用意していた抹茶椀を手にとった桜子は、一瞬動きを止めたけれど、その渋い器から発せられる本物感を無かったことにした。
考えたら負けだ。
せっかくだから、少しでも『ぽく』してみるかと、ソファの前に敷かれた毛足の短いラグを畳に見立ててみることにした。
「略手前でいいかな」
呟いた桜子の言葉に、常葉が嬉しそうに後ろから覗いてきた。
「すごい、さくちゃんちゃんと習ってたんだね」
「ううん、適当だけど」
もちろん、火鉢も鉄瓶もないので真っ赤なケトルと鍋敷きに代役して貰う。
大変洋風な部屋のなかに、即席にも程があるお茶会だけれど、紫苑がやたらと目をキラキラさせているのでいいことにしよう。
お茶菓子は干菓子ではないけれど、そもそもみそまんじゅうを食べる会な訳だし適当に。
みそまんじゅうをバラの皿に盛って用意する。
ふむ、渋い抹茶椀との異色のコラボが違和感満載だ。
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