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「いえ、桜子さんに点てて頂きたいです」
輝かしい笑顔の前で、微妙な顔をする常葉。
常葉も好み云々は置いておくと、なかなか整った顔立ちをしている。
しかし、紫苑の人間離れした邪気のなさは、さながら地上に舞い降りた天使といったところだろうか。
「……分かったわ。苦手だったら無理して飲まないのよ?」
「はい!」
常葉の真似をしてそわそわと正座をする紫苑を見た桜子は、なんだか微笑ましいと頬を緩めた。
一見洋風な見かけをしている淡い茶色の巻き毛に緑の瞳の常葉は、堂にいった佇まいのせいかちゃんと日本人に見える。
……鬼、なんだけど。
今は考えないでおこう。
ただ、今は、日本の文化に興味津々の外国のお客様をもてなすつもりでやったらいい。
桜子は、お盆がないので四角のトレイの上に道具を並べた。
そんな些細な動きを、相変わらず紫苑はキラキラと見つめている。
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