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「えっ?」
「高卒の資格くらいはほしいんだけど」
「あれ?そう言うもの?」
こてんと首を傾げる常葉の仕草が、狙ったようにあざとい。
それを半目で睨みながら、桜子は常々疑問だったことを聞くことにした。
「常葉って、大学生じゃないの?」
「大学はもう卒業しちゃった」
えへっと舌を出されても、自分と瓜二つの顔でやられるとなぜだか腹が立つ。
さきほど、二十歳と言っていなかっただろうか?
「海外だからさ、飛び級とかあるの」
「……」
なるほど、参考にはならないようだ。
と、だとすると紫苑も参考にはならないのだろう。
「じゃあ、月白さまに打診しておくよ。通信制の高校か家庭教師かー」
「……通信制のがいいわね」
レオナみたいな家庭教師では困る。
勉強どころじゃなくなってしまうだろう。
そんな桜子の心のなかを見透かしたように、常葉が大丈夫と微笑んだ。
「その時は、紫苑には選ばせないからね」
「……お願いするわ」
紫苑のことは好きだけれど、どうやら人を疑うという概念がすっぽり抜け落ちているらしい。
自分とは正反対だ、と桜子は苦く微笑んだ。
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