第4章

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みんなみんないなくなっちゃう。 みんな私を置いていく。 コトン…… 部屋の隅で小さな音がした。 誰かいたのかと、あわてて涙を拭った桜子の足にふわりと何かがふれた。 お、おばけ……は、さわれないわよね? ピシッと固まった体をぎこちなく動かして、おそるおそる足元を見ると、そこにはふわふわの小さな子猫がちょんと座っていた。 「なんだ……子猫ちゃんだったのね」 ミャア 「どうしてこんな所にいるの?迷子?」 そうっと手を出すと、また嬉しそうにすりすりと顔をすりつけてくる。 かわいさに悶えながらも、暴れて子猫を驚かさないように自分を押さえ込んだ。 長めのふわふわとした毛の色はクリーム色で、まるで歩く毛糸玉のよう。 首輪はしていなくて、でも野良だったようには見えない。 手入れのされた毛並みといい、このなつっこさといい、どう考えても飼い猫だ。 もしや……窓の向こう森を越えたところにある古城。 あそこで飼われている猫ちゃんなのだろうか。 「子猫ちゃんお腹すいた?」 ミャア! 元気よく鳴くふわふわの毛糸玉を抱えて、桜子は自分の部屋に帰ることにした。
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