第4章

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「さてと、このサイズだと……きっと離乳食よね」 たぶん。 ご近所で子猫が産まれたときに、これくらいから柔らかくしたペットフードを食べさせていた。 けれど、桜子の部屋にペットフードなんてあるわけがない。 冷蔵庫を開けると、タラの切り身が見えた。 「うーん……茹でてあげればいいかな」 子猫は部屋のなかが気に入ったのか、あちらこちら見て回っている。 柔らかく茹でて、フーフー冷ましながら小さくする。 匂いに釣られたのか、ミャウミャウと足元にまつわりつく子猫が愛らしい。 「子猫ちゃん待ってね、まだ熱いからね」 子猫ちゃんでは少し呼びにくい。 しゃがみこんで耳の裏を掻いてやりながら話しかける。 「お名前何て言うの?」 ミャウミャウ 「うーん、勝手に付けちゃダメかな? えっと……たま?」 ミャウ! 「珠?」 ミャウミャウ! 「いいお返事だね、じゃあここでは珠って呼ぶね?」
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