第4章

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「何て言うか、さくちゃんって期待を裏切るよね」 楽しいと笑う常葉を、ジトッと睨んだ。 猫の名前にたまは安易なのだろうけれど、珠だと思ったんだもの。 「今時つけないよねー」 「すみませんね!若年寄で!」 「さくちゃん最高」 なにがツボに入ったのか、笑い転げる常葉の向こうでドアが軽くノックされた。 「はい」 「お待たせいたしました。こんな感じでどうでしょう?」 大きめの段ボールの上に小さなお家みたいなものを抱えた紫苑が、どうやったのか器用にドアを開けて入ってくる。 因みに、まったく待ってはいないのだけれど。 「……お家?」 「これはトイレみたいですよ?」 どうやらお家ではなくトイレだったようだ。 箱のなかには、食べ物から猫用のブラシ、おもちゃや子猫の飼い方の本まで入っていた。 もちろん、トイレ用の砂も。 「……反対しないの?」 「しませんよ。私は室内犬なんてどうかなって思っていたんですけど、桜子さんが気に入ったのならこの子を飼いましょう」 「ありがとう!この子がいいの」 「ですが、きちんと自分でお世話するって約束しないといけませんよ?」 「する!」 そのやり取りを黙って聞いていた常葉が、やっと収まってきていた笑いをまたも噴出させた。
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