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猫じゃらしのリボンをヒラヒラさせて珠と遊ぶ桜子が、あまりにも無邪気に笑うので、紫苑と常葉は目を離せなくなった。
珠と桜子が遊び疲れてラグの上でうたた寝を始めると、すかさず紫苑がフワリと柔らかなタオルケットをかける。
「……紫苑、すっかりお母さんだね」
「こんなかわいい娘がいたら溺愛しますよね」
おとうさん、ではなく、おかあさんと言われたことに対する突っ込みはないようだ。
「珠をさ、連れてきたのって……青藍だよね」
「……そうでしょうね」
二人の目線の先では、ふわふわの珠を抱いて、桜子がすやすやと眠っている。
こうやってみると、桜子がまだまだ子どもなのだと言うことを、ひしひしと感じる二人だった。
いつもの挑戦的に真っ直ぐ前を睨む姿は、きっと桜子の鎧。
肩の力を抜いただけで、こんなにも幼い少女が、これから立ち向かわなければいけないのは、性根の悪い古狸や古狐たち。
「……今頃、なんで会う気になったんだろうね。月白さま」
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