第4章

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「痛かった……」 正確には今も痛い。 けれど、それはしょうがないかと小さく呟いた。 あと二回、この痛みを耐えようと、反対の手を常葉の頬に伸ばした。 「ダメだよ」 途中で掴まれた手首は、しっかりと空中に固定されて頬まで届かない。 不満を隠しもせずに眉を潜めた桜子の頬を、常葉が軽く摘まんだ。 「自分の痛みをさくちゃんに肩代わりさせるくらいなら、もっと痛くなってもかまわないよ」 「でも……」 それは、私が受けるはずの痛みだったのに。 常葉の言葉を聞いて、無表情だった青藍の顔が歪んだ。 「青藍のは事故みたいなものでしょ?」 常葉の言葉はまるで宥めるように優しいけれど、青藍の渋面は変わらない。 すっきりと、きれいな肌には打たれた跡は欠片も残っていない。 それなのに、一番痛そうな顔をしている。 「……お前の、その能力は隠し通せ」 「ぇ?」 「悪用しようとするやつが現れる」 珠を抱えて座り込んだ桜子に、青藍がすっと近寄るとその背の高さに何故か体が震えた。
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