第4章

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熱が下がっても、動く気にもならなかった。 期待なんてしていなかった筈なのに、生きている唯一の肉親に、あぁも拒絶されてみて初めて、自分がなにか暖かいものを求めていたことに気がついた。 馬鹿みたいだ。 ゆっくりと瞼を閉じると、涙がまた頬を伝う。 「泣くな」 低い声がすぐ側で囁いた。 不意に現れるこの人たちに、いつの間にか慣れたのか驚きもしなかった。 「そのまま目を瞑ってろ」 その言葉に、どこへ連れていってくれるのか分かった桜子は、思わず大きく目を見開いた。 すぐに大きな手で視界を塞がれて、ふわりと体が宙に浮く。 その手の壊れ物を扱うようなぎこちない動きに、寝込んでいたとき額に当てられた大きな手を思った。 そっか…… 「少しだけだ」 ストンと地面におろされて思わずよろけた桜子を、腕を掴んで立たせると、また少し離れた所で煙草に火をつけた。 桜子は、ペタリと桜の木に両手を当てて挨拶をした。 すごく……久しぶりな気がするね。 もっと頻繁に来たいんだけどね、あいつが許してくれないの。 ペタリと地面に腰を下ろして、背中を桜の木に持たせかけた。
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