第5章

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桜子が居場所を作る方法。 それが……これなのだろうか? 「よそ見はダメですよ。桜子さん」 「はーい」 「それはお返事としては認められませんね」 なぜこんなに紫苑は生き生きとしてるのだろうか。 常葉は、ちょくちょく現れては桜子の頭に月の鬼の歴史等を叩き込んでいく。 そして、レディーになる短期講座の講師が紫苑らしい。 「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花、ですよ」 なぜそんなにも生き生きしているのか教えてほしいものだ。 「急に大和撫子目指せって言われてもねぇ……」 日本の文化に疎かった筈の紫苑は、いったいどこにいってしまったのだろうか。 もしかして、これはよく似た双子とか? 「では、最初からやってみましょうね」 ……現実逃避している場合ではないらしい。 桜子の前には、空の皿とナイフやフォークがいくつも並べられている。 箸なら次にどれを使うのか悩んだりしなくていいのにと、不満げに眉を潜めた。
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