第5章

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椅子から立ち上がるだけで、所作のダメ出しを受けるわ、肩をすくめた途端にレディはそんなことをしてはいけないと叱られるわ…… 「常葉のばかぁぁ……」 「あれ?僕が悪いの?」 「紫苑止めてよぉぉ……」 「あっ、むり」 歴史のお勉強のが幾分かましだ。 テーブルに突っ伏しても別段お行儀について叱られたりはしない。 あっさり匙を投げた常葉に、桜子の視線がじっとりと向けられる。 「紫苑は短期間で、さくちゃんを一流のレディにしようとしてるからね」 「むりに決まってるでしょぉぉ……」 「まぁ、やっておいて損はないと思うよ。向こうはほんものの大和撫子らしいからね」 「……それ、やっても無駄じゃない?」 「そうかな?」 常葉の無責任な言葉を聞きながら、桜子はノートに書き込んでいく。 こんな月の鬼がいついつに何をしたなんて、覚える必要があるんだろうか? 役に立つとしたらどんな場面で役に立つのよ。
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