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「月の鬼は元を辿ればひとつなんだけどね。
そこから幾つにも枝分かれして、今の四家が力を持つようになるんだよね」
常葉のざっくりした説明は、小難しい本の文字を目で追うよりも分かりやすい。
「完全実力主義だから、代々力があるものが跡を継いできたってわけ。
だから、今回のライバル出現もわりとあることなんだよ」
桜子より紅子とやらの実力が上だった場合、桜子の立場はなくなる。
「でも、この橘って家がなかなか謎が多くてね?
あんまり他の鬼とも人間ともかかわり合いを持たない人たちでさ、あっ鬼ね。
だから、本当に純血なのか本当に橘の流れの鬼なのか、まだ調べがついてないんだよね」
完全実力主義なのに、純血が尊ばれるのはどうしてだろう。
「あーそれはね、純血のが力が強いことが多いからだね。今の月白さまとかさ、蒼子さまとかね。
薄まると力が弱くなるからね」
なるほど、人間との混血である桜子なんぞ、眼中にないってことなのね。
「まー言っちゃえばね。
でも、混血だから力が弱いとは限らないよ。僕だって純血じゃないけど、五本の指に入るわけだからさ。
さくちゃんは奇跡の混血だし、かなり未知数だよねぇ」
本来、産まれることすらないと言われる、純血の月の鬼と人間の子供。
単に丈夫だってだけだったらどうしようか……
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